Winny判決について

あちこちのブログを見る限り、やや感情的に不当を叫ぶ意見が多いように思った。不当かどうかなんて判決文見ないことには分かるはずもないのだけど*1、とりあえず、分かっていることから論点を考えてみる。

  • 罪名は著作権侵害の幇助
  • 金子被告に著作権侵害助長の意図は無かったと認定された
  • Winny自体は有益かつ価値中立的と認定された
  • 著作権侵害に利用されていることを知りながらバージョンアップを繰り返したことが、著作権侵害幇助にあたる」

えっと、これは何だろう。通説・判例である因果的共犯論をとれば十分幇助は成り立つような気もするけど、問題は故意なんだろうか。でも今までの経緯を考えたら未必の故意を認めるには十分な気もする。
ああ、でもあれか。Winny自体は価値中立的なんだから、これは不作為犯の問題なんだろうか。だとしたら、判例は「作為義務があり作為によって結果を(十中八九)回避できる」場合に不作為の幇助を認めるから、その辺の問題になるかも。金子被告は開発(先行行為)者として利用者の著作権侵害行為を防止する義務があるし、技術的に防止措置がとれるなら不作為による幇助は成り立つのかもしれん。
いやいや、やっぱ不作為犯の問題っておかしいな。「バージョンアップをしたから」ってのと食い違うし。これはやっぱり故意の認定の問題か?結局、大量の著作権侵害行為があることを知りながら敢えて匿名性を高めたりするようなバージョンアップをしたことから、少なくとも未必の故意はあったと認定されたのか。「バージョンアップ」ってとこがミソかも。つまり、Winnyの開発時点では著作権侵害幇助の目的が無くても、バージョンアップの時点ではあったと。


いずれにしろ、この判決はWinnyを開発したことを責めているんじゃない、と思うのだけど、そう解してくれるブロガーは少ないのかもしれない。
そうは言っても、やっぱり際どいとこだとは思う。最高裁まで争ったら金子被告にも勝つチャンスはあるんじゃないかな。

*1:2006年12月13日現在ネット上に判決文全文は出てきてない