今更クロノクロスのストーリーを整理してみる

超複雑で、理解に相当時間かかった。しかも、作中で語られてないことまで自分で推測しないとパズル完成しない。とは言え、注意深くやり込めばちゃんとゲーム本編とトリガーの知識だけで理解可能なレベルなので、これからプレイする人はじっくりとプレイしてほしい。

自分なりに整理してみて分かったことは、クロスはトリガーで唯一語られなかった「サラの物語」であるということ。

サラの力は多分歴史上どの人間より大きくて、彼女自身その力に負けてしまった。キッドは多分、そんなサラがなってみたかったもう一人の自分。自由で強くて希望に溢れた少女。クロノクロスは、サラの絶望と希望に焦点を当てて作られた物語だったような気がする。

サラと時喰い

クロノトリガーラヴォスに吹き飛ばされたサラは、時空を彷徨った*1挙げ句に、ラヴォスの欠片に取り込まれ、ラヴォスをベースとした究極生命体「時喰い」となってしまう。時喰いは、生命の負の感情を取り込んで成長し、未来の果てから時を止め世界を蝕んでいく*2。時喰いの存在を知った賢者ガッシュは、時喰いからサラを解放し世界を救うため、サラ解放の鍵である「クロノクロス*3の使い手を生み出そうと考える。そのために未来で時空研究所「クロノポリス」を設立した。

タイムクラッシュ

一方、クロノトリガーではクロノ達がラヴォスを倒すが、それを(恐らくはジールでサラと接触したことにより)知ったラヴォスは、歴史の再改変をしようとする。クロノポリスの時空研究はラヴォスの欠片(「凍てついた炎」)を利用したものであったため、これに働きかけ、タイムクラッシュを引き起こす*4。この時、クロノポリスに対抗させるため、恐竜人が繁栄する未来からディノポリス(星の塔)も引き寄せた。

ラヴォスの引き起こしたタイムクラッシュにより、クロノポリスとディノポリスは人類側の時間軸における過去にタイムスリップ。過去で衝突してしまったクロノポリスとディノポリスは戦争を開始し、辛うじてクロノポリスが勝利。クロノポリスの管理コンピュータ「フェイト」は、ディノポリス側の生体兵器「龍神」を分割・封印し、「運命の書」を通して人々を正しい選択へ導く管理社会を構築した。ただ、この頃からフェイトは少し狂い始め、全存在を自分が完全管理しようという目的を持ち始める*5

クロノトリガー」の認証

本編の14年前。セルジュの病気を治すため海に出たセルジュの父ワヅキが、嵐のため神の庭へ迷い込む。時空を彷徨う途中でセルジュの泣き声に引き寄せられたサラは、この時代に接触しようとする。これにより磁気嵐が起きてフェイトのシステムは一時的にダウン。ルッカが埋め込んでおいたセキュリティシステム「プロメテウス」が起動し、その僅かな時間にセルジュが「凍てついた炎」に接触する。プロメテウスはセルジュを調停者「クロノトリガー」として認証し、システム権限がセルジュに移行したため、フェイトはシステムから締め出されてしまう。

セルジュにひかれたサラは、ペンダントと共に自分の分身をキッドとしてこの時代に生み落とす。一方フェイトはワヅキの精神を侵し、自らの分身ヤマネコとして権限奪還のために行動させる(亜人になったのは凍てついた炎の影響)。

セルジュの死亡とパラレルワールドの発生

本編の10年前。ヤマネコ(おそらくこの時点からワヅキが完全にフェイトの支配下に落ちた)は調停者となったセルジュを殺そうと海で溺れさせる。この時セルジュは死亡。しかしそれだけではシステムを奪還できなかったため、更に凍てついた炎を守るプロメテウスも排除しようとする。凍てついた炎の力で封印されている龍神ツクヨミ)と「プロメテウス排除」という共同目的の下に手を結んだヤマネコは、(間接的な)開発者であるルッカを襲うが、結局ルッカからプロメテウス排除の方法は聞き出せない。そこで、調停者であるセルジュの肉体を手に入れる計画を立て直す。

セルジュは死んだはずだったが、サラの力を受け継いだキッドが(エンディング後に)タイムスリップでセルジュを助け、歴史が分化。セルジュの生き残ったホームと死んだアナザーに分かれる。ホームの未来はクロノトリガーで回避したはずの滅亡した未来に近づいたため、神の庭(クロノポリス)が存在できず、代わりに時空が混乱する「死海」となっている。龍神の分割体「六龍」は何故か二つの世界に散り散りになる(後述するように龍神は時喰いの仮の姿であるので、その影響があったためと思われる)。

パラレルワールドの交錯

溺れたセルジュを助けたキッドが、今度は本編開始直後にタイムスリップし、ホームにいるセルジュをアナザーに導いて当時の自分に引き合わせる。(おそらくはツクヨミを通して)パラレルワールドからセルジュがやってくることを予期していたヤマネコは、セルジュの肉体を奪おうと画策する。そして調停者たるセルジュの肉体を奪ったヤマネコは、クロノポリスに入ることが可能になり、システムを奪還。これを追うセルジュ(inヤマネコ)は、クロノポリスに入るため、龍達の加護を得、龍の涙で肉体を取り戻す。その過程で、フェイトが運命の書を使って人々を操っていると聞かされる。セルジュはクロノポリスでフェイトを倒すが、フェイトは本来人類の保護を目的としており、むしろフェイトが消えることで龍神の封印が解け龍達の人類への復讐が始まってしまった。ツクヨミと六龍がセルジュ達に協力したのは、それが目的だった。

ただし、龍神の総意としてセルジュ達を誘導していたものの、ツクヨミだけは他の龍と違い、セルジュに好意を寄せ、復讐などは望まなかった様子。

時喰いの消滅と時間軸の修復

復活した龍神は、凍てついた炎を通して時喰いを別次元に現出させた姿だった。クロノポリスに敗北し滅んだ龍神も、負の感情に支配され時喰いに飲み込まれていたのだ。ただしこの時点まではフェイトの封印の影響か、元の龍神としての支配力が強かった。これをセルジュ達が倒すと、龍神は「時の闇の彼方」にいる時喰い本体と完全に融合し、時喰いが真に覚醒してしまう。

セルジュ達は、ガッシュから受け取った「時の卵」で時喰いの下に向かい、決戦に臨む。セルジュがクロノクロスを使い、憎しみを浄化されたサラは時喰いから解放される。これにより時喰いも消滅。サラもその存在を消す。サラの力が失われたことで、時間軸の修復が始まる。セルジュの生死によって分かれた二つの世界は完全に分離し、セルジュ達も旅の記憶を失う。全ては、歴史改変の無い正常な時間軸に戻る。ただ一人、キッドを除いて。

サラの分身たるキッドだけは、記憶を失わない。そしてそれまでの時間の流れを維持するため、過去に戻り溺れたセルジュを助け、成長したセルジュを少し前の自分のところに時空移動させる。キッドはサラから受け継いだペンダントによって時空に干渉してしまうが、キッド自身に時空移動の能力があるわけではない(自由に行きたいところへは行けない)ので、再びセルジュに出会えるとは限らず、また出会うことができてもセルジュはキッドのことを憶えていない。エンディングムービーでは、セルジュを探して世界(時間)を渡り歩くキッドの姿がある。

エンディング

こうして、ひとつの物語は
幕を閉じる。


ながい時間が、すぎて……
つかの間の夢はとおく過ぎ去り……
残されたのは、わたしと、
思い出だけ……。


でも、いつかきっとまた会える、
あなたと、わたしは……。
別の場所、別の時間で……。


互いにそうと気づくことは
ないかも知れないけれど……。


知らない扉を開いて、
もうひとつの現実に出会う、
もうひとつの今日を生きよう。
物語は終わっても、
人生はつづく……


だから、その時まで……
ごきげんよう


Sarah Kid Zeal

D

*1:サラの最終目的は自分自身を消すことだったので、何もできず流され続けたのとはちょっと違う。

*2:時喰いの起源は実は作中ではあまりはっきりと示されてはいないが、進化の過程で滅ぼされていった生命の負の感情が元々存在し、それがサラと共にラヴォスの欠片に取り込まれたことがきっかけだと思われる。

*3:あまりはっきりしないが、「クロノクロス」は、時空を越えて記憶や思いを繋げるもので、時喰いの元となった「生命の負の感情」を浄化するもののようだ。

*4:タイムクラッシュについては、ガッシュは事故だったと言い、ルッカガッシュの計画の内だったと言っている。ディノポリスのことも考えるとラヴォスの意図だったと考えるのが自然だが、ガッシュは時間移動でタイムクラッシュを予見し、その上で黙認していたようであるから、近因はラヴォスの影響による事故、遠因はガッシュの計画と言っていいかもしれない。

*5:クロノによれば、フェイトは自分自身が新たな種として生まれ変わろうとしていた可能性もある。