『ハリー・ポッターと謎のプリンス』

なんか映画批評サイトであんまりいい評価受けてなかったんだけど、あの原作をここまでエンタメ仕様に持ってったのは十分評価に値すると思う。
全体的には、とにかく削れるところはできるだけ削ったという印象。最終作が2部に分かれていることを考えたら、同じく原作が分冊されていた第6作をここまで圧縮したのは偉いと思う。
[以下ネタバレ含む]


ネチネチとうざったい恋愛模様をストレートに簡略化し、ダンブルドアの特別授業のあたりもサクサク削って、テンポをよくしている。
テンポだけじゃなく、省略によって主要3人の性格もうまく補正してある。ドラコ追跡パートをばっさり切ることによりハリーの身勝手で乱暴な性格をマイルドにし、授業パートのカットによってハーマイオニーのうざさも消し、更にロンのヘタレっぷりも相当控えめにしてある。この3人は原作だと結構性格悪いし浅はかなので、省略は奏功していると思う。
また、ホグワーツ襲撃の陰謀については、視点をドラコにすることでもったいぶった描写を避け、かつドラコの苦悩をうまく抜き出した。実験として送る物体をリンゴから小鳥に変えるという描写だけで、原作では見えづらかったドラコの苦悩もうまく可視化されている。
ただし、ヴォルデモートの掘り下げまで削られてたのはちょっと残念。原作ではヴォルデモートの人間味がじっくり描写されていたが、映画では完全に悪の化身として記号化されている。ダンブルドアが何度も「昔の生徒」として口にしているのは、最低限のフォローか。まぁ、ハリー達の悪い性格もごっそり削っている以上、バランスとしてはこれでいいのかもしれない。


ちなみに、期待していたジニーはあんまり可愛くなかった。もうちょっときらびやかな美人のイメージがあったんだけど。