福井晴敏::川の深さは

川の深さは (講談社文庫)

川の深さは (講談社文庫)

結局、『Towelve Y.O.』は『川の深さは』の焼き直しだったわけですね。登場人物、ストーリーの大筋、ミステリーの中身、その他あらゆる点において二つの作品はほぼ同じものです。ただ、何となく『川の深さは』の方が好きという気もしますが。
何というか、「自衛隊の存在意義」というテーマとそれに伴うかなり怪しげな論理を除いてしまえば、どっかで見たような内容ですね。極めて(少年)漫画的・アニメ的な人間ドラマです。それだけ取り出せばかなりいいストーリーなんですが、社会批判ネタがうざすぎて中盤だれます。それほど的を射た意見とも言い難いですし、福井晴敏は、軍事に絡めた社会批判ネタ以外のところで楽しむべき作家だと思いますね。