乙一::小生物語(文庫版)

小生物語 (幻冬舎文庫)

小生物語 (幻冬舎文庫)

ようやく出た文庫版。さすがにこれを単行本で買おうとは思わなかったんだけど、文庫なら廉価だから買ってもいいか、と思って買った。てか、文庫化されるなら基本的に文庫で買った方が得だ。半額以下になるし、あとがきも2つ分読めるし。GOTHみたく分冊されると最悪だけど。失はれる物語なんかは、元々アンソロジー+書き下ろし一編だったから、文庫版でないと買う気しなかった。
中身は普通に面白い。日記の中に巧みに虚構を織り交ぜるってのは、案外難しい。どれだけ推敲してるのかは知る由もないけど、あれだけの嘘をぱぱっと思いつくなら本当にすごいと思う。乙一とは年齢や生育環境が似てるせいか、共感するところが多い。それは小説を読んでもそう感じるんだけど、俺が乙一を好む理由の一つだな。
ところで、生まれたばかりの姪にメロメロになってる乙一は、何やら微笑ましかった。気持ちは分かる。
しかし、羨ましい限りの生活だよなぁ、売れてる作家って。10代の頃から作家として生計を立てられてる乙一は、やっぱりすごい。すごすぎてこっちの現状が嫌になる。俺にも物書きの才能でもあれば、もうちょっと楽しく生きられるのになぁ。