『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』

ちょっと期待外れ。
まず省略しすぎ。尺の問題ではなくて、脚本が下手なんだと思う。単発ドラマの方は短くても良くできてたしな。映画版は、不要な描写が多い割に、力を入れるべきシーンをオダギリジョーの独白に頼りすぎ。風景だけ見せてすっ飛ばしたり。過去の自分や母親の幻像と語るという演出が入っていたけど、これも蛇足なことこの上ない。アニメの両澤みたいに言葉を廃した脚本もダメだけど、言葉以外で表現できない脚本も同じくらいダメだということが分かった。音楽の使い方もうまくなかったしなぁ。
それと、カメラが微妙。特にオダギリジョーが母親の手紙を見て泣くシーン。あそこでアップ固定の映像はダメだろ。手紙を読むシーンなんだから、敢えて引かないと。泣き顔のアップは最後の数瞬でいいんだよ。
更に、設定とかがある程度変わるのは別にいいんだけど、根本的に必要な部分が変わってて戸惑った。父親の性格は、あれはないだろ。その他の友人達も、もっとまともに描写するか、どうしても尺が足りないなら半端に立てようとしないで欲しかった。雅也の周囲にいる人間達がどうしようもなく中途半端に揺らめいていて、見てる方もどう扱って良いか分からなかった。
良かったのは、樹木希林の闘病シーンか。あそこは本当に抉られるみたいな悲痛な感覚に襲われた。そんでもって、やっぱり手紙のシーンは涙がこみ上げるな。単発ドラマの時ほどじゃないけど。
何というか、悪くはないけどあまり期待しすぎない方がいい映画だった。