「これってほめ言葉?」に関する私見

なにげに

「何気なく」の誤用であることは確かだが、何故こんな変化をしたのか?と考えてみたが、多分形容詞にかけたかったからじゃないかと思う。「何気なく」だと動詞にしか使えないが、「なにげに」なら形容詞にも使えるのだ。「何気なく速い」と言うと妙だが、「なにげに速い」なら何となくいけそうな感じ。
で、意味だが、梅津アナウンサーは歌の中で「結構の意味」とか言っている。そんな意味で使うだろうか。個人的には、「何気なく」から来ているのだから、「特別これといった様子も見せず」といった意味じゃないかと思っている。というか、そういう意味でしか使わない。歌の例で言うと、「課長、なにげに歌うまいっすね」は、「普段歌が好きとか得意とかそういう様子は無かったのに、実はうまいんですね」の意味。ちょっと悪意に解釈すると「うまそうに見えなかったけど」という意味になるので、かなり失礼な誉め言葉だったりする。

フツーに

梅津アナウンサーは「割との意味」だと言うが、これもちょっと解釈が違っていて、「普通に」というのは「特別なことが無い状態で」という意味だと考える。要するに「気を遣ったりお世辞で言っているのではなく、平素の精神状態で第三者的立場から考えても」という意味。「お父さん、フツーにおいしいよ」と言われたら、「割とおいしい」ではなく、「奢ってくれるお父さんに気を遣ってるわけじゃなくて、単純にこの寿司がおいしいと感じるよ」という意味だ。「何のバイアスもかかってないから私の評価を言葉通り受け取って下さいね」という前置き代わりなのだ。