『スラムドッグ・ミリオネア』

500円で上映してたので遅ればせながら見てきた。
絶賛されてる理由も、PG12指定が付いてる理由もよく分かった。インドってのは本当にこんななんだろうか。
[以下ネタバレ含む]


基本は主人公とヒロインの愛の物語なんだろうけど、正直主人公の兄の方が気になって仕方なかった。金のために手段を選ばない非道さと、弟への愛情の間で揺れる兄…のようでいて、基本はやっぱり非道の方というのが、物語の悲惨さを更に強くしている。
弟のための行為と思わせておいてあっさり非道の方へ戻っていく兄が、最後の最後で弟とヒロインのために命を捨てるからこそ、この物語は壮大な愛の物語たりえている。何しろ、この兄が善人なら最初からヒロインと生き別れることはなかった(かもしれない)し、そうは言ってもこいつが非道な奴じゃないと、弟とヒロインへの様々な暴力を暴力で撃退してくれる人間はいなかったのだ。主人公の兄の(若干非道寄りな)二面性こそがこの物語の真髄じゃないかと思う。
彼は死に際に(恐らくは弟の運命を思って)「神は偉大だ」と言ったが、ギャングを殺したその足で対立ギャングの手下になりに行く決断力と言い、真に偉大なのは彼だったように思う