劇場版ポケットモンスター第9作までで最高なのは

夏休みってことで一気に放送されてたけど、マナフィまで全部見てどれが一番か考えてみた。
個人的には、1位は第5作「水の都の護神 ラティアスラティオス」だな。2番目は第8作「ミュウと波導の勇者ルカリオ」。
以下、第1作から全作について軽くコメント。

ミュウツーの逆襲

テーマが哲学的なため一部で評価が高いらしいけど、それほど良いとは思わない。人間にもポケモンにもなりきれない自分という存在を生み出した人間に対して、逆襲するミュウツー。けどその行動を恨んでおきながら自分でクローン体を大量生産するし、クローン体達がオリジナルを攻撃する理由も不明。
時代が時代だから仕方ないかもしれないけど、バトルシーンも陳腐で、ストーリーに深みがあったとも思えない。テーマが深いからと言ってそれが消化し切れてるかは疑問。
作られたポケモンであるミュウツーに焦点を当ててるので、人間側の登場人物はほぼレギュラーのみの構成。畢竟キャラの魅力は特に無し。
アバンタイトルが異様に長い。

幻のポケモンルギア爆誕

ゲーム的展開で分かりやすいエンタメ仕様。看板ポケモンであるルギアの魅力がいまいちだったのは残念だが、劇場版の中で最もロケット団が活躍した作品として個人的に割と高く評価してる。
ゲストヒロインのフルーラは割と魅力的。最初の印象と後半の印象がかなり変わってるが、「伝統を嫌う現代っ子」から事件を通して「巫女としての役割に自信を持ち島を愛する少女」へと変わる過程を描いたものだとすれば秀逸。

結晶塔の帝王 ENTEI

看板ポケモンエンテイ竹中直人。普通にうまい。
「ここは俺に任せて先に行け」メソッドで展開。親子愛がテーマなんだろうと思うが、アンノーンの生み出したエンテイが無償でミーに尽くし続ける様子はどこか示唆的。
悪くはないけど、大がかりな危機が無く、先に行けメソッドを使った割に盛り上がりに欠けた。

セレビィ 時を超えた遭遇

ユキナリ=オーキドのラストは、まさかと思った。ユキナリが過去に戻って夢として片付けるところまで見ないと、オーキド博士との繋がりは肯定しづらい。
ボスを倒してめっちゃ楽しんだ直後に萎れていくセレビィにはびびった。
全体として流れは秀逸。ただどうしても壮大さには欠ける。

水の都の護神 ラティアスラティオス

ヴェネツィア的な都市を表現した絵と音楽が異国情緒に溢れていて、全体を通してCGを絡めた作画が美しい。
泥棒姉妹の性格と言動は地味に人間味があって魅力的。看板ポケモンラティアスラティオスは、微笑ましくかつ切ない。敢えてラティオスを死なせ、それによってこころのしずくが生まれる瞬間を見せた演出が綺麗にまとまっていて高評価。
全体にハートフルな印象だったが、ゲストヒロインのカノンがラストでサトシに無言でキスするシーンは、「ラティアスが化けている方のカノンは喋らない」という設定を利用した見事な引き方だった。

七夜の願い星 ジラーチ

グラードンが異様にでかく、攻撃方法がデイダラボッチなのにちょっと笑ったが、動きは良かった。植物がどんどん枯れていくのに人間やポケモンは取り込まれても無事というのは、まぁ子供向けだから仕方ないことか。
千年に一度しか目覚めないジラーチと出会えた奇跡、もう二度と会えない切なさ。この辺りは良く描けてたと思う。故郷へ帰すまでの道のりで、夜を数えるアイテムを通して「楽しい」から「寂しい」へ移っていく過程がいい。

裂空の訪問者 デオキシス

サスペンスとしてはかなり良くできてる。「俺達しかいない」メソッド。
デオキシスの言葉を一瞬で解読してしまったのにはちょっと萎えたが、ポケモン恐怖症のトオイが本当に最後の最後に来るまでトラウマを乗り越えられないでいる姿は、何となくリアルで良かった。ゲストキャラが立ってるのは珍しい。

ミュウと波導の勇者ルカリオ

ルカリオとアーロンの絆の物語。山ちゃんにこんな役をやらせたら泣くに決まっている。喋れるおかげで看板ポケモンががっつり食い込んでくるストーリー展開。ラストも感動的。
欲を言えば、ルカリオがアーロンを疑ってしまう過程をもうちょっと説得的に描いて欲しかった。本当に信じているならあの状態からでも信じられたはずでは、と思わずにいられない。

ポケモンレンジャーと蒼海の王子マナフィ

マサトのジラーチに対するハルカのマナフィ。偶然で必然な出会いとひとときの想い出。子育てと別れメソッド。
ジラーチに比べるとやや劣化。ポケモンレンジャーの意味が薄い。ハルカが主役と思いきや、最後にはサトシが文字通り死ぬ思いで事件解決。生命の危機としては恐らくこれまでで一番リアルに切迫してた。